胸痛の原因は、心臓や肺、消化器系、筋骨格系などさまざまです。
これらの原因には以下のようなものがあります。

• 心臓の問題：狭心症や心筋梗塞大動脈解離、肺塞栓など
• 肺の問題：肺炎や気胸など
• 消化器系の問題：胃食道逆流症や胃潰瘍など
• 筋骨格系の問題：胸郭出口症候群や肋間神経痛など

先述の通り狭心症や心筋梗塞大動脈解離、肺塞栓などが鑑別に挙がりますがいずれも緊急性、重症性の高い疾患のため慎重な対応が必要になります。

狭心症

狭心症は、心臓の筋肉に十分な血液が供給されないために発生する胸痛です。
通常、運動やストレスが引き金となり、安静にすると痛みが軽減します（その他にはむしろ安静時、早朝時に起こる攣縮性狭心症などもあります）。
痛みは圧迫感や胸の重苦しさを伴うことが多いです。狭心症が疑われる場合、心電図や血液検査、心エコーなどで診断を行います。

心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓の血管が詰まり、心筋が壊死する状態です。激しい胸痛や呼吸困難、冷汗などが伴います。
心筋梗塞は緊急事態であり、迅速な治療が必要です。血液検査や心電図、心臓カテーテル検査などで診断します。

大動脈解離

大動脈解離は、大動脈が裂けることで、急激な胸背部痛を引き起こします。痛みは突発的で、背中や腹部にも広がることがあります。
CT（造影）で診断され、緊急の手術が必要となる場合があります。

整形疾患に伴う胸痛の特徴は圧痛があったり動作による痛みが再現性を持って出現することです。
緊急性はありませんが原因不明の胸痛として鎮痛剤のみで経過を見られたりと納得出来ない事も多い印象です。
当院では動作分析をしっかり行い、原因が判然としなければMRIの検査を行ったり、理学療法士による指導など徹底的に症状に向き合います。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群は、肩甲骨の下や胸郭の間で神経、動脈、静脈が圧迫されることで、胸痛や肩こり、手のしびれを引き起こします。
筋肉の緊張や姿勢不良、長時間のスマホの閲覧（スマホ首）などが原因とされ、理学療法や姿勢改善が治療法として用いられます。また当院で特に力を入れているハイドロリリースも効果的です。

肋間神経痛

肋間神経痛は、肋骨間にある神経が炎症を起こすことで、鋭い痛みを感じる状態です。
ウイルス感染や外傷が原因となることがあります。症状が急に現れ、一定の場所に限定されることが多いです。治療には痛み止めや神経ブロック、ハイドロリリースが用いられます。

筋肉の緊張や損傷

筋肉の緊張や損傷、様々な筋肉付着部炎も胸痛を引き起こすことがあります。長時間の姿勢の悪さや過度の運動が原因です。
痛みは通常、筋肉の触診や動作によって悪化し、休息や温熱療法、ストレッチが有効です。

胸痛は緊急性、重症性の高い疾患が鑑別に挙がるためオーバートリアージかも知れませんが早急な受診をお勧めしています。
時に下記の様な症状は参考になります。

• 突然の激しい胸痛
• 呼吸困難や冷汗を伴う痛み
• 痛みが肩や腕、背中に広がる
• 痛みが長時間続く

また、定期的な健康診断や生活習慣の見直しも胸痛の予防には有効です。
主に生活習慣病と言われる物は心疾患のリスク要因（高血圧、糖尿病、喫煙など）と言われており、日頃から管理することが重要となります。

胸痛は緊急性、重症性の高い疾患が隠れている事があり、適切な診断と治療が求められます。循環器内科では心臓の疾患に焦点を当て、整形外科では筋骨格系の問題を扱っています。胸痛の原因を見極め、専門的な治療を受けることで、早期に治療介入が可能です。胸痛が気になる場合、ぜひ当院へご相談ください。